「什器って何?」と思ったことはありませんか?什器は、主にビジネスシーンで使われる言葉で、日常生活で使用する家具や道具・備品などを意味します。
本記事では、基本的な知識からよく活用される什器の種類などについてまとめました。自社に合った什器選びをするためにも、ぜひご一読ください。
Contents
什器(じゅうき)とは

什器(じゅうき)とは、主にビジネスシーンで使われる言葉で、日常生活で使用する家具や道具・備品などを指します。
ビジネスシーンで使われる言葉のため、実際に日常生活で家庭用家具を什器と呼ぶことは、ほとんどありません。
ビジネスシーンで使われる什器も、
- 小売店などで使用する店舗什器
- オフィスで使われるオフィス什器
に分けられており、それぞれに適した什器が揃っています。
什器の種類

前述のとおり、ビジネスシーンで使われる什器は、使われる場所に応じて多様です。例えば、店舗什器とオフィス什器では、主に下記のような種類があります。
設置場所 | 種類 |
---|---|
店舗(店舗什器) | ・陳列棚ショーケース ・レジ台・包装台 ・ストッカー ・ワゴン ・カタログスタンド ・試着室 ・ハンガーラック ・マネキン ・ミラー・食器 |
オフィス(オフィス什器) | ・デスク ・椅子・テーブル ・ソファー ・書棚 ・キャビネット ・パーテーション ・受付台 |
店舗什器は商品陳列や販売などに役立つ什器、オフィス什器ではデスクワークやミーティングに役立つ什器が揃っています。
また、店舗什器・オフィス什器は、展示会やイベントなど、他にもさまざまなシーンで活用可能です。
什器でよく使われる素材

素材 | 特徴 |
---|---|
ダンボール | ・軽くコンパクトにたためる ・加重や衝撃に強い |
アクリル | ・光線透過率が高く、美しい透明性が特徴 ・商品そのものを見せたい陳列に適している |
スチール・アルミなど | ・店頭に用いられる什器ではスタンダードな素材 ・ボードやメッシュタイプなど種類が豊富 |
木材 | ・軽く強度に優れている ・木目を活かし設置場所の雰囲気づくりができる |
上記のとおり、什器ではさまざまな素材が使われています。陳列場所や目的に合わせて、適した素材の什器を選ぶのがおすすめです。
例えば、ダンボール素材の什器は、軽くてコンパクトにたためます。必要な時だけ使用し、不要になったら移動させたり、片付けたりしたい場合にピッタリです。
素材の特徴を把握して、設置場所や目的に合わせて選ぶようにしましょう。
【場所別】店舗の陳列やディスプレイでよく活用される什器の種類
店舗の陳列やディスプレイでよく活用される什器の種類を、場所別に紹介します。
紹介する場所は下記の6ヶ所です。
- スーパー
- ドラッグストア
- コンビニ
- コスメショップ
- アパレルショップ
- 飲食店
それぞれ詳しく紹介していきます。
場所1. スーパー

種類 | 概要 |
---|---|
陳列棚 | 商品を陳列するゴンドラ什器や床置きタイプフロア什器 |
平台 | 通路へ一時的に設置する脚付きの大きく平らな台 |
ワゴン | 陳列棚の前などに臨時に設置する脚付きの販売用ワゴン |
冷凍冷蔵ショーケース | 冷凍食品や生鮮食品を、適切な温度で管理・陳列するショーケース |
レジ台 | 引き出しや棚などが付いている、レジ設置用の台 |
サッカー台 | 来店客が購入した商品の袋詰めをおこなう作業台 |
接客カウンター | サービスカウンターとして使用する什器 |
スーパーでは、陳列する商品に応じて、使用する什器はさまざまです。
陳列棚や平台をメインに、野菜・果物、お肉、魚などの生鮮食品や冷凍食品では冷凍冷蔵ショーケースを使用します。
レジを設置するためのレジ台や袋詰め作業のためのサッカー台、サービスカウンターを設置するなら接客カウンターも必要です。
スーパーの中でも、衣食住を取り扱う業態の場合には、衣料品用のハンガーラックや鏡、コスメ用の陳列台など、商品の特性に合わせた什器も使用します。
また、商品やセール、イベントに応じて、演出用什器やワゴンも必要です。
演出用什器の例をあげると、天然素材のカゴなどで、季節の果物を籐籠(とうかご)に盛ったり、竹籠(たけかご)に陳列して清涼感を演出したりと、商品や季節に合わせて使い分けます。
販促什器については、以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
場所2. ドラッグストア

種類 | 概要 |
---|---|
陳列棚 | 商品を陳列するゴンドラ什器や、通路に面した商品棚(エンド什器) |
カウンター什器 | レジ横やカウンターなどに商品を陳列できる小型の什器 |
リーフレットスタンド | リーフレットを設置する紙製やアクリル製の什器 |
調剤什器 | 調剤をおこなう台や、薬などを整理・収納する調剤棚 |
調剤受付カウンター | 調剤薬局で来店客の接客を行うためのカウンター |
ドラッグストアで商品陳列に使用される什器は、ゴンドラ什器やエンド什器がメインです。
冷蔵品を取り扱うドラッグストアでは、冷凍冷蔵ショーケースを使用するなど、スーパーと同じ什器が多く使用されます。
ドラッグストアでは、カウンター什器やリーフレットスタンドが多く使用されます。
ドラッグストアでは、横長のカウンターにレジを2〜3台並べているお店がレジとレジとの間のスペースを活用し、カウンター什器やリーフレットスタンドを設置し、「ついで買い」や「商品の告知」などを狙います。
また、調剤併設型のドラッグストアの場合は、調剤什器や調剤受付カウンターも必要です。
調剤併設型ドラッグストアは、医療機関からの処方箋を取り扱う「調剤薬局」が併設されたドラッグストアを指します。
調剤をおこなうための作業台や、薬剤を整理・収納する棚、カウンセリングのための接客カウンターなどが必要です。
場所3. コンビニ

種類 | 概要 |
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陳列棚 | 商品を陳列するゴンドラ什器やエンド什器など |
冷凍・冷蔵ショーケース | 適切な温度管理ができるショーケース。飲料品やスイーツ、冷凍食品などを陳列する。 |
接客カウンター | レジ台兼用のカウンター。 |
タバコ什器 | カウンター奥に設置するタバコ用の什器。 |
雑誌什器 | 雑誌や書籍の陳列用什器。上部はひな壇で表紙が見えるように陳列できる。下部は平積みできるような棚になっている。 |
コンビニでは、ゴンドラ什器やエンド什器、冷凍・冷蔵ショーケースなどを主に活用しています。
コンビニの売場変更は商品の入れ替えのみという場合が一般的で、什器を移動することはほとんどありません。
カウンター奥のタバコ什器や雑誌什器なども、主にコンビニで使用される什器です。
商品を陳列するだけでなく、タバコ什器は万引き防止、雑誌什器は外から店内がにぎやかに見えるよう演出する効果も期待されています。
場所4. コスメショップ

種類 | 概要 |
---|---|
化粧品陳列台 | 扉やLED照明など演出機能が付いた、化粧品向けの陳列台 |
ミラー | 化粧品棚の上や横などに設置する鏡 |
パンフレットスタンド | 化粧のパンフレット入れるスタンド |
メイクアップカウンター | メイクアップする際に使用するカウンター什器 |
アクリルディスプレイ | 透明なアクリル製の什器 |
コスメは綺麗になるために使うアイテムであるため、コスメショップは、清潔感や上質感を重視している点が特徴です。
売りたい商品や単価の高い商品の場合、LED照明などの演出機能がある化粧品陳列台に陳列することで、上質感や高級感を演出します。
比較的お手頃な商品も、商品陳列棚に白いゴンドラ什器や木製什器など、店内イメージやコンセプトに合わせて什器を選定することが重要です。
また、来店客にメイクやカウンセリングなどをおこなう「美容部員」が常駐しているコスメショップでは、接客のためのカウンターも必要です。
場所5. アパレルショップ

種類 | 概要 |
---|---|
ハンガーラック | ハンガーにかけた衣類を展示するラック |
ディスプレイ用テーブル | サイズの大きな床置きタイプや通路側に設置するテーブル |
シェルフ | 木や鉄・ガラスなどでできた商品を陳列する棚 |
シューズラック | シューズ類を展示するための什器 |
マネキン・トルソー | 販売用アイテムを着せて、ディスプレイする什器 |
ミラー | 来場客が着用イメージを確認する、卓上サイズや姿見などの鏡 |
試着室(フィッティングルーム) | 来店客が試着する、ドアタイプやカーテン仕切りタイプの小部屋 |
アパレルショップでは、スーパーのようなゴンドラ什器より、木製や金属製のテーブルやシェルフで商品を陳列している店舗が多い傾向です。
商品が見やすいように、ハンガーラックも多く使用されます。
マネキンやトルソー(手足のない胴体部分のみのマネキン)に商品を着せて、ディスプレイするのも特徴です。
他にも、来店客が着用イメージを確認できるよう、卓上ミラーや姿見、試着室なども必要になります。
着用イメージが確認できないと、購入しない方も多いため、ミラーや試着室は必ず用意しましょう。
場所6. 飲食店

種類 | 概要 |
---|---|
厨房機器 | シンクや調理台・熱機器など、厨房で利用する機器 |
冷蔵ケース | 食材を保管するための冷蔵庫や冷凍庫など |
食器棚 | 食器類を整理・収納するための棚 |
食器類 | 提供する料理や店舗コンセプトに合わせた食器 |
テーブル・椅子 | 来店客が飲食するための、テーブル、椅子など |
飲食店で使用される什器は、上記のシンクや調理台、熱機器といった一般的なもののほか、提供する料理に合わせて必要なものが異なります。
例えば、イタリアンでピザを焼く場合は窯やオーブン、お寿司屋さんならネタケースなど、料理に応じて必要な什器を用意しましょう。
また、食器類やテーブル、椅子といった細かな什器も同様です。
例えば、店内でゆっくり過ごしてもらいたいカフェならソファー、回転率重視の立ち食い・立ち飲みなら、カウンターのみで椅子を用意しないなど、料理やターゲット、コンセプトによって、必要なものが異なります。
什器の購入・レンタルにおけるメリット・デメリット

メリット | デメリット | |
---|---|---|
購入 | ・目的合わせてデザイン ・加工できる ・会社の資産にできる | ・まとまった初期費用が必要になる ・メンテナンス費用や廃棄費用が発生する |
レンタル | ・初期費用を抑えられる ・修理費用が発生しない(レンタル会社による) ・廃棄費用が不要 | ・利用期間によっては、購入するよりコストがアップする ・選択肢が少なくなる |
什器を用意する方法は、購入・レンタルの2とおりです。
什器を購入する場合は、まとまった初期費用が必要になります。ですが、什器の選択肢が多く、目的や店舗のコンセプトに合わせて什器が選べる点がメリットです。
また、しっかりメンテナンスすれば、長期間使用可能で、会社の資産として計上することもできます。
一方、レンタルの場合は、初期費用が抑えられる点がメリットです。什器の修理のようなメンテナンスは、業者でおこなうことが多く、修理費用も手間も節約できます。
ただし、業者が用意している什器の中に、店舗のコンセプトに合うものがない場合があるため、注意が必要です。利用期間が長くなると、購入するよりコストがかかることもあります。
購入とレンタル、それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、適切な方法で什器を用意しましょう。
なお、什器のレンタルについては、以下の記事にて詳しく解説しています。興味がある方は、ぜひご覧ください。
什器選びで知っておくべき4つのチェックポイント
- 目的・ターゲットに合っているか?
- 設置場所のコンセプトに合っているか?
- 動線を妨げない場所へ柔軟に設置できるか?
- 来店客やスタッフが安全に使用できるか?
什器選びで知っておくべき上記のポイントを、それぞれ解説していきます。
ポイント1. 目的・ターゲットに合っているか?

まず、什器を導入する目的・ターゲットを明確にするのがおすすめです。目的・ターゲットを明確にしないで什器を選ぶと、什器を活用しきれず、出費が無駄になる恐れがあります。
例えば、アクリル素材の什器で食品を美しく陳列したとしても、売り場の雰囲気に合わず、販促効果は期待できません。
食品を陳列するなら、自然素材の籐籠(とうかご)などで陳列するほうが、売り場の雰囲気に合って、ボリューム感も出るため、売上アップも期待できます。
什器を導入する前に、目的やターゲットを明確にして、それぞれに合った什器をお選びください。
ポイント2. 設置場所のコンセプトに合っているか?

什器を選ぶ際には、設置場所のコンセプトに合っているかもチェックするのがおすすめです。
店内のイメージは、什器の素材や色・形状などで変化するため、設置場所のコンセプトに合ったものを選ぶ必要があります。
小売店の場合、実際に並べる商品やセールのコンセプトに適した什器を選ばないと、十分に魅力が伝わらず、手に取ってもらえない可能性があるため、注意が必要です。
例えば、値下げ商品のセールをするなら、定番棚に置くよりも、ワゴンセールとしてワゴン什器にまとめて陳列したほうが、来店客の目に止まりやすく、価格も安く感じます。
逆に、セールではない商品をワゴン什器にまとめて陳列すると、安っぽく見えて売りたい金額で売れない可能性が高くなるため、注意が必要です。
適切な什器を選ばないと、店内イメージや売上に影響するため、什器が設置場所や商品・セールのコンセプトに合っているか、よくご確認ください。
ポイント3. 動線を妨げない場所へ柔軟に設置できるか?

什器を柔軟に移動できるかも重要です。
小売店で季節品を販売する場合、店内のレイアウト変更を定期的に実施します。移動しやすい什器を選んでおくと、レイアウト変更がスムーズです。
逆に、什器を柔軟に移動できないと、レイアウト変更に時間がかかります。レイアウト変更に時間がかかると、来店客の動線を妨げてしまうおそれがあるため、注意が必要です。
動線が妨げられると、買い物体験の満足度が下がってしまいます。
コマがついている什器や、折りたたんで持ち運べる什器など、少人数でも移動しやすいものを選んでおくのがおすすめです。
ポイント4. 来店客やスタッフが安全に使用できるか?

什器の安全性も確認が必要です。
例えば、
- 陳列する商品の重さに耐えられる
- 商品の落下を防止するストッパーがついている
- 転倒防止する対策がされている
など安全に配慮した什器でないと、倒れたり商品が落下したりする恐れがあります。
近くに人がいる際に什器の転倒や商品の落下があると、商品が壊れるだけでなく、来店客や従業員の怪我など、大きな問題になる可能性があるため、注意が必要です。
什器を選ぶ際には、安全性が十分確保できるか、必ずご検討ください。
什器を活用して販促効果をアップしよう

改めて、本記事をまとめます。
- 什器という言葉の意味や種類、使われている素材といった基本的な知識
- 場所別でよく活用される什器
- 什器の購入・レンタルにおけるメリット・デメリット
- 什器選びで知っておくべきポイント
什器は、目的や用途に応じて、さまざまな種類が用意されています。選ぶ際には、店舗のコンセプトや目的、設置場所に適したものを選ぶことが重要です。
適切に什器を活用できれば、販促効果アップが期待できます。本記事を参考に、適切な什器を選んで、商品の魅力をお客様に伝えましょう。